午前6時。

初秋の爽やかな空気を全身で感じながら、喜屋武 ペイン(きやん ぺいん)は天神学生寮の玄関前を箒で掃き掃除する。

無造作に後ろで束ねた長い黒髪、ロイド眼鏡、白のTシャツにジーンズ、足元は安物のサンダル。

よく見れば顔立ちは決して悪くないのに、お洒落に無頓着な彼女は非常に残念な出で立ちである。

「もう秋ですかねぇ…」

筋雲の浮かぶ高い空を見上げ、小さく独り言。

そんな彼女の背後に。

『おはようございます、喜屋武さん』

一人の小柄な少女が立った。