本当なら自分達の親へ電話をし、会社へも連絡を…と妻としてやるべきことがいろいろあるのだが、何も、出来ていなかった。 ようやくタクシーの灯りがコンビニの駐車場に入ってきた。 「あっ、店長、ありがとうございました…行ってきます…」 彩乃がそう話すと 「気をつけてね」 と、また、優しく微笑んで見送ってくれた。 駐車場に行くと、タクシー運転手が後部座席の近くに立ち待っており、彩乃達が近づくと 「どうぞ」 とドアを開けてくれた。