求*幸福~愛しい人はママだった~【完】



どうやら、動き出した見物人らが駅へ向かうのに逆らい、駅側から歩いてきたこの女性は、人波を避けようとして俺の方によろけてしまい、荷物ごとぶつかり足首をひねったらしい…まぁ、原因を作った者としては申し訳ない気もするが…いくらなんでもこんなに勢いよくぶつかるか?



大の男の俺がよろけるほどだぞ?



とりあえず荷物を拾ってやり、手渡そうと女性の正面に立つ。



「あのぉ~、大丈夫?、ではないとは思うんだけど、そのまま帰れそうですか?」



荷物を差し出しながら俯く女性を少し覗きこむようにした。



「あっ!はい、大丈夫ですよ、あぁ、荷物すみません。」



そう話しながらゆっくり顔をあげて、俺を笑顔で見上げてくる。