夜遅く人通りはなく、タクシーも通ってない。 急いで近くのコンビニに飛び込み、 「す、すみませんっ!タクシーって呼べますか?」 焦りからかなりの大声で訪ねてしまったが、レジカウンター内に居た顔見知りの店長が 「今すぐ、呼びますか?」 と落ち着いた様子で返してくれた。 そのお陰でガクガクと震えていた全身から少しだけ緊張が抜けた気がした。 「お願いしますっ!すぐ、直ぐに病院に行かないと…いけなくて…」 そこまで言うと彩乃は、左手で娘を支えたまま、右手をレジカウンターにつき、息を深くついた。