求*幸福~愛しい人はママだった~【完】



かなりの大声で呼び掛けられて我に返る…



「…はい?…え、っと…」



「いいですか?!ご主人の小林幸太さんは港中中央総合病院に搬送されました、救急車内で意識がなく、現在も救命室にて懸命の救命措置中です、直ぐに向かわれてください!!」



(病、院…)



「わ、かり、ました……みな、と、なかちっ中央…そうご、う…」



そこまで言って、既に受話器の向こうはツーツーツと言う機械音がするだけと気付き、菅野さんの返事は聞けなかった。



しばらく呆然としていただろうか…受話器が手から滑り落ち、足元でガチンと音をたて、ようやく彩乃は我に帰った。



なんとか自分を奮い立たせ、急いで身支度を済ませ、寝ている紗彩をベッドから抱っこして自宅マンションを出て、すぐ下の大通りまで出た。