先程の看護師が茫然と立ち尽くす彩乃の横に静かに立ち、話しかけてきた。
「あちらの椅子に座りましょうか、ご主人は別のお部屋に移りますからね。少し手続きがありますからね…」
**********
*********
********
*******
******
*****
****
***
**
そのときから葬儀が終わり、今後の事を決め、いろいろな手続きを済ませ、仕事、保育園、引っ越しの手配………をするつい最近まで、彩乃の記憶ははっきりせず、瞳には感情が見えないままだった。
両方の両親に支えられ、何とかこなすことができ、10月下旬頃にはようやく、彩乃は悲しみを素直に涙にしたり、これからのことを考えたりと夫が亡くなった現実と向き合えているように見えたが、大好きな夫を失った心は痛いままだった。

