その夜、彩乃に電話した。



明日は2回目のキスシーンで、思いが通じたあとってことで、少しカットが長い。



俺は役柄やそんなシーンの話をして、「俳優として、しっかり後悔のないように全てのシーンに全力で臨むよ…」と、伝えると、「うん、応援してる…どんな翔哉でも、役になりきってる翔哉は格好いいから…」と言ってくれた。



照れた俺は「じゃあ、なりきってない、普段の俺は格好悪い?」なんて、意地悪なことを聞いてしまった。



彩乃は慌てた口調になり「えっ?あ…そんなつもりじゃ…えっと…あのね、何て言ったら…」って…「ごめん、解ってる、維持悪いこと聞いてごめんな?最高の『タカシ』になってくるから」「…うん、楽しみにしてる…」

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それから、撮影は更に波に乗ったようにスムーズに進んだ。