ようやく、心が少しだけ冷静さを取り戻してきたのか、あの警官に言われたことを何とか全て思い出そうとしながら、ふと、それぞれの両親に連絡をいれなければ…と思い当たった。
でも、病院で状況を理解してからのほうがよいのか、今がいいのか、決められない自分がいた。
(とりあえず…向こうのお父さんたちには、息子のことだものね…?今、よね?意識が無いのよ?
今かけなきゃ、だよね…)
そう思い、少し震えの残る手で、バッグから携帯電話を取り出すと、画面には着信履歴が3件、11時少し前に入っていた。
登録されていない番号からで、それは、警察からのものと思われた。
マナーモードにしていたため、彩乃が気が付かず直ぐ後に自宅にかかってきたのだろう。
その画面を操作し、電話帳から幸太の実家の番号を出すと、大きく深呼吸をして、発信ボタンを押した…。

