白と黒の神話

「二人とも、早く剣を出して!」


 ミスティリーナがやろうとしていることがわからない二人。だが、彼女の気迫には逆らうことができないようでもある。


「我は望み、我は願う。灼熱の炎で鍛えられしもの。それに宿り、力を見せよ。エンチャント!」

「何をしたの、リーナ」


 思わず問いかけるセシリア。そんな彼女に振り向きざまに返事をするミスティリーナ。


「あんたたちの剣に炎を宿らせたから。下級の連中なら大丈夫。あたしはあのデュラハンを何とかする!」


 そう言うなり、再び魔法詠唱のために意識を集中しているミスティリーナ。そして、彼女の言葉に力をえたセシリアとカルロスは、アンデッドの中に飛び込もうとしていた。


「セシリア、グールは俺が相手をしてやるよ」


 彼女のことを気遣うような声。それを耳にしたセシリアは、信じられないというような表情を浮かべていた。