白と黒の神話

 その声にハッとしたようになるミスティリーナ。何かを探るかのようにその目は閉じられている。そうしている間にも霧はますます濃くなり、あたりは乳白色に閉じ込められている。


「ウィア、一体どうなっているんだ」

「騒がないでください。この霧は会いたくないものたちの気配しか宿していませんからね。リーナ、わかりますか」

「あんたの言いたいことはなんとなくわかる。嫌なやつらの気配だけじゃない。でも、ここなら遠慮なしに魔法が使えるからマシかな?」

「ですね。でも、私に期待はしないでくださいよ。私は白魔導師ですが聖職者ではないですよ」


 二人の声から何が来るのか予測のついたカルロスは、真剣な表情になっている。


「ウィア、アンデッドか? それなら、お前の魔法でもしんどいだろうな」

「そうはっきり言わないでください。しかし、今は黒魔導師がいますからね」