白と黒の神話

 まくしたてるように喋るミスティリーナ。そんな彼女の勢いにセシリアはポカンとしてしまっている。やはり、彼女は世間知らずのお嬢様なのだと思ったミスティリーナは、思わず頭を抱え込んでいた。しかし、セシリアはそんなことに気もついていないのだろう。それでも、何かを思い出したような声をだしている。


「あ、リーナ。宿はとっているって連絡あったわ。ルディアって宿らしい宿が一軒しかないらしいから、向こうに行けばわかるって」

「そんな大事なこと、もっと早くに教えてよね」


 やはり、セシリアはお嬢様だとミスティリーナは再認識している。こうなったら、自分が気をつけておかねば、と肝に命じているようだった。


「それなら、少しでも早く到着しないとね」


 気になることはまだあるが、それはルディアに到着してからだと思っているミスティリーナ。二人はそろそろ日も傾こうとしている道をルディアに向けて急いでいるのだった。