白と黒の神話

 セシリアのその言葉にうなずきかけたミスティリーナ。しかし、彼女はここがどこかということを思い出したのだろう。その表情が少し明るくなったようだった。


「でも、ここなら都から離れているし大丈夫かな。ジャスティンってお喋りなの?」

「それなら大丈夫。彼だって、アルフリート様のシスコンぶりには呆れているんだし」

「それなら安心ね。でも、何なんだろうね」


 ミスティリーナの思いはセシリアも同じだったのだろう。それでも、あまりゆっくりできないとも思っている。彼女はそろそろ出発しようというように立ち上がっていた。


「お喋りもいいけど、あんまりゆっくりしてると夜になるわ」

「それはイヤよ。今夜はちゃんとした屋根のあるところで休みたいもの」


 そう言ったミスティリーナは思い出したようにセシリアの顔をマジマジとみている。


「だけど、リアがここまでやれるとは思わなかったわ」