そんなこともわからないのかい、といわんばかりのグラン・マの口調。それを耳にした時、ミスティリーナはようやく納得したようだった。先ほどまでの苛々した表情がすっとその影をひそめている。


「言われてみたらそうだわ。今まで、考えてもいなかったけど」


 ミスティリーナのこの言葉にグラン・マは穏やかな表情でこたえていた。


「無理をすることはないよ。自分が使える属性は自分が一番よくわかるからね」


 グラン・マのその言葉にうなずいているミスティリーナ。そして、セシリアは何かがわかったようなわからないような不思議そうな表情を浮かべている。


「ウェリオの宿にお戻り。今頃は、あんたたちの帰りを待っている奴がいるはずだからね」

「それは予言なの? わかったわ。どうやら、これ以上は教えてくれないみたいだし宿に戻るわ。でも、また困ったことができたら来てもいいでしょう」


 セシリアのその声にグラン・マは静かにうなずいている。それをみた彼女はミスティリーナを促すと、ウェリオの宿に戻っているのだった。