「わかっているわ、グラン・マ。でも、リーナは魔法だけじゃないの。格闘技もできるってギルドからきかされたわ」

「格闘技ができるのかい。それなら、少しは安心できないでもないね」

「グラン・マ、何をどこまで知っているの? 最初の言い方だと何もわからないって感じだったのに」


 グラン・マの言葉にどことなく矛盾を感じたようなセシリア。彼女はグラン・マが何かを隠しているのではと疑い始めていた。もっとも、当のグラン・マはセシリアに軽くあしらわれるような相手ではない。彼女はちょっと肩をすくめながら、セシリアの疑問にこたえていた。


「あたしは全部を知っているわけじゃないんだよ」

「だったら、どうして」


 自分の知りたいことは自分の力で獲得しなければいけない、とセシリアは感じたようだった。彼女は、のらりくらりと逃げるグラン・マの言葉尻をつかまえようと必死になっている。