白と黒の神話

 彼女が捜しているアルディスが目立つ相手であることは間違いない。その彼女が気配すら感じさせずに姿をけしている。そして、セシリアが期待していたジャスティンのもつ情報網、城のおかかえ魔導師も何の手掛かりもつかめていない。つまり、セシリアにとってはグラン・マという相手が、最後の希望の光でもあるのだった。


「約束は覚えているよ。まあ、そこの椅子におかけ」

「早く教えてちょうだい。いつもなら役に立つジャスティンの情報網にも何の反応もないのよ」


 グラン・マにそう言っているセシリアの様子は、意気消沈というのが一番相応しいだろう。もっとも、彼女と一緒にいるミスティリーナはそれほど焦った様子はみせていない。それは、彼女がセシリアに雇われているということも原因だろう。そんな対照的ともいえそうな二人の様子をみながら、グラン・マはゆっくりと口を開いている。