白と黒の神話

 そう言うと話はそこまでといわんばかりに軽く目をつぶっているグラン・マ。こうなったら、何も教えてもらえないことをセシリアは知っている。彼女はミスティリーナを促すと、静かに部屋から出ていっていた。二人が出ていったのを感じたのか、グラン・マはゆっくり目をあけている。


「リア。あんたはあたしがどういう存在か知っても、今と同じにしてくれるんだろうか……」


 賑やかに喋りながら出て行った二人。その二人はグラン・マがそのようなことを考えているとは思ってもいなかった。

 そして、グラン・マと約束した新月の日。セシリアとミスティリーナは、また彼女の家を訪れていた。


「グラン・マ、約束は覚えているんでしょう」


 この数日間、セシリア自身も手をこまねいていたわけではない。彼女なりにできる限りのことはやっている。しかし、その成果まるでないことにセシリアは苛立ちしか覚えていなかった。