白と黒の神話

「あたしは占いのババだよ。忘れたのかい?」

「それはそうだろうけれど……」


 グラン・マの言葉に、セシリアは力なくこたえている。その時、グラン・マはミスティリーナの存在にも気がついたのだろう。改めて彼女の顔をジッとみつめていた。


「それはそうと珍しい連れだね。あんたは火のお嬢さんだろう」

「えっ?」


 急に声をかけられたことで、ミスティリーナの声は裏返っている。


「火のお嬢さんって、あたしのこと?」


 おどおどした様子でそう言っているミスティリーナ。そんな彼女にグラン・マは当たり前というような顔をしている。


「ここには、あんた以外の者はいないだろう。あたしは、リアのことは前から知っているからね」

「そりゃ、あたしの使う魔法は火だけどね」


 初めて会った相手のことがわかるということにミスティリーナは唖然とした顔をしている。そんな中、セシリアの苛ついたような声が響いていた。