白と黒の神話

「グラン・マ、教えてほしいことがあるのよ」

「相変わらずせわしい子だね。とにかく、そこにおかけ」


 グラン・マと呼ばれた老婆はセシリアをたしなめるようにそう言っている。そう言いながら二人に椅子を指し示すその手は枯枝のように細いものであり、彼女がかなりの高齢であることを物語っていた。


「あまり、のんびりできないのよね」


 椅子に腰掛けながらセシリアはそう言っている。しかし、グラン・マはそんな彼女の様子にも態度を変えることはないようだった。


「あんたの知りたいことはわかっているよ。でも、焦ったからどうなるってものでもないだろう」

「私はまだ何も言ってないわよ」


 自分の焦りをみすかされたようなグラン・マの言葉に、セシリアはちょっとムッとしたような顔になっている。しかし、グラン・マはそんなことを気になどしていない。