白と黒の神話

「しらばっくれるのもほどほどにしてください。あそこに隠し部屋があることは、王族ならばご存じのことでしょう!」


 セシリアの態度が豹変したことに、アルフリートもミスティリーナもすっかり驚いてしまっていた。


「セシリア。お、落ち着こうな……」


 彼女の気迫に押されたのか、おどおどした態度のアルフリート。しかし、そんな彼にセシリアは容赦などするつもりは毛頭ない。


「アルフリート様がアルディス様の縁談にいい顔をなさっていらっしゃらないことは承知しております」


 遠慮というものも感じられないようにいい続けるセシリア。一方、アルフリートはそうやって言われっ放しになりそうな形勢をなんとかして盛り返そうとして足掻いていた。


「だって、反対もするだろう。誰が可愛い妹をあんなヤツにやらないといけないんだ!」

「それはアルフリート様だけのお考えです。陛下のご意向、アルディス様のご意思はどうだったのですか」