白と黒の神話

「そうなのよ。その、シスコンなの! おまけに、アルディス様の結婚話が気に入らないって公言してるし」


 苛々したような口調のセシリア。話しているうちに、ますますその思いが強くなったのだろう。彼女の口調はだんだんと辛辣になってきている。


「ホントにあのバカ。何を考えているのかしら」


 階段を上がりながら、なおもブツブツ言っているセシリア。そんな彼女にミスティリーナは自分の疑問をぶつけていた。


「っていうことは、お姫様は結婚が決まっていたの?」

「正式じゃないわ。そういう話があったのよ。でも、それは当たり前のことでしょう」

「お姫様だもんね。でも、シスコン兄貴にしてみたら、妹をとられるって思うのかな」


 セシリアの言葉にどことなく納得したようなミスティリーナ。二人にできるのは、お互いに顔を見合わせながら階段を上がっていくことだけ。


「リアがバカ王子って言ったわけがわかったような気がする。でも、そうだからって……」