穏やかな光が差し込んできている。グローリアの王城は王女であるアルディスがみつかったことで、喜びに沸き返っているのだった。

 そんな、城内の一室。そこでぼんやりとしたような表情でいるのは、今回の件での最大の功労者ともいわれているセシリアだった。そんな彼女のかたわらに近寄っているミスティリーナ。


「リア、ぼんやりしてどうしたのよ」


 彼女がそうなる理由はわかっている。それでも、それではいけないと彼女は思っているのだった。


「リーナ……」

「そりゃ、あんたの気持ちもわからないことはないけれどもね」


 セシリアがカルロスに対して抱いていた思いをミスティリーナは知っている。そして、それが叶うことがないことも。

 グローリアに無事に帰還したアルディス。その彼女のそばに寄り添っているカルロス。周囲の思惑もあるだろうが、二人の気持ちが通じ合っているのも間違いない。この二人の婚約が正式のものとして発表される日が近いのも間違いがないことだった。