白と黒の神話

 子供のようにそうきいてくるジェリータ。その彼女にアルディスはニッコリ笑って、手をさしのべている。


「大丈夫。さ、手を貸して」


 アルディスのその声にジェリータは手をのばしていた。同じような白い指と指が絡み合う。お互いに肩がふれ、息がかかり、髪が絡み合う。

 お互いを映したように、体格も何もかもがそっくりな二人。寸分の狂いもなく、重なっているところは、二人ではなく一人が立っているように見える。


「もどれるの?」


 どことなく、不安もあるようなジェリータの声。それに、ゆっくりとこたえているアルディス。


「あなたは、もどりたい?」

「もどりたいわ。もう、こんなのはイヤ」


 ジェリータのその言葉にアルディスもうなずいている。お互いにどちらがどちらともわからない姿。トクン、トクンと脈打つ音は、ますます大きくなってきている。