白と黒の神話

 怯えたような少女という感じがするジェリータ。その彼女を包み込むように近寄るアルディス。


「怖がることはないわ。だって、わたくしたちは同じ存在じゃない。たしかに、別れてしまったわ。でも、元に戻るのがあなたの望みなんでしょう?」

「そうよ。戻れるの?」


 ジェリータの言葉にアルディスは黙って微笑んでいる。それを見たジェリータは今にも泣き出しそうな顔になっていた。


「手を貸してちょうだい。わたくしは、あなたが知らないことも、たくさん知っているのよ。それを教えてあげる。それでも、あなたがあの男を信じるのかしら」


 そう言ったアルディスは、邪霊王の方を睨んでいた。聖水晶の中で眠っている間に、彼女は色々なことを知ったのだろう。そして、アルディスのそんな気迫におされているようなジェリータ。彼女はそっと、差し出されるアルディスの手をとっていた。