白と黒の神話

「わたくしの手をとって。そうすれば、何もかもがわかるわ。あなたのことを心配しているのが誰かはすぐにわかるのよ」


 そう言いながら差し出される白い手。それをジッとみていることしかないジェリータ。


「ジェリータ、どうしたんだい? お前の望みは何だったのかい」


 邪霊王の声にジェリータの表情がまた変わる。彼女は自分がやることを思い出したというように、アルディスをじっとみつめていた。


「わたくしの望みは元に戻ることですわ。それだけしかありませんわ」


 ジェリータの返事に邪霊王は満足げな表情を浮かべていた。


「そうだよね。じゃあ、君のやることはわかるよね」


 そんな言葉にうなずいているジェリータの表情はそれまでのものとは違う。セシリアにしてみれば、これこそがジェリータという者だったのだろう。しかし、シュルツは顔色が悪くなっているようだった。


「ジェリータ……」