彼女は邪霊王が決めたことに従うのだ、といわんばかりの表情を浮かべている。そんな思惑を持っている二人がじっとみていることなど気がついていないように、アルディスはジェリータに詰め寄っていた。
「あなたは覚えていないの? あなたのことを誰よりも心配してくれているのは、あそこにいる人じゃないでしょう」
そう言うなり、後ろを振り向き、その場にいる邪霊王を指差しているアルディス。しかし、彼は平気な顔で、泰然とした様子を崩そうとはしていない。
「目を覚ましなさい。いつまでも、こんなことができるわけないでしょう」
自分の言葉くらいでは、邪霊王には何の効力もないとわかっているのだろう。アルディスはジェリータに向き直ると、再び問いかけている。しかし、ジェリータはそれも聞きたくないというように耳を塞いでいた。その姿はいかにも頼りなげな子供のようにみえなくはない。それは、後ろでみていることしかできないセシリアたちには奇異な思いを抱かせるものだった。
「あなたは覚えていないの? あなたのことを誰よりも心配してくれているのは、あそこにいる人じゃないでしょう」
そう言うなり、後ろを振り向き、その場にいる邪霊王を指差しているアルディス。しかし、彼は平気な顔で、泰然とした様子を崩そうとはしていない。
「目を覚ましなさい。いつまでも、こんなことができるわけないでしょう」
自分の言葉くらいでは、邪霊王には何の効力もないとわかっているのだろう。アルディスはジェリータに向き直ると、再び問いかけている。しかし、ジェリータはそれも聞きたくないというように耳を塞いでいた。その姿はいかにも頼りなげな子供のようにみえなくはない。それは、後ろでみていることしかできないセシリアたちには奇異な思いを抱かせるものだった。


