白と黒の神話

「お前がジェリータに何を言ったのかはわかっている。しかし、彼女は返してもらう」

「お兄様、何をおっしゃるの。マスターはわたくしのことを心配してくださっているのよ」


 兄であるシュルツの言葉が信じられないというようなジェリータ。そんな彼女を痛ましげな表情でみているシュルツ。そして、自信たっぷりな様子でジェリータに近寄ろうとしているマスターこと邪霊王。


「結論は出ているね。君がこうして非難じみたことを言っても、ジェリータは正しいことは何かを知っているよ」


 そう言いながら、ジェリータに近寄ろうとする邪霊王。それをシュルツは強引に引き止めていた。


「これ以上、妹に関わるな。お前がこの世の秩序を壊そうとしているのはわかっている。千年前もそうだったな。虫一匹、殺すことのできなかったジェリータの手を汚させた」

「それは、君の勘違いだろう。でも、そこまで言うのならジェリータに選ばせよう」