白と黒の神話

 シュルツの言葉に激しく反発するジェリータ。そんな彼女の前には鏡に映したようにそっくりなアルディスがいる。


「そうだよ、ジェリータ。これで、お前は元の姿に戻れるんだよ」

「はい。マスター」


 そう言って笑うジェリータの顔に浮かぶ微笑。その顔はアルディスにそっくりである。しかし、そこに浮かんでいるのは似ても似つかない表情。それは、自分の優位を確信した傲慢さを感じさせるもの。こんな顔をすることができる者とアルディスが同じ存在だとはセシリアは認めたくなかった。しかし、それは真実。ジェリータとアルディスは千年という時をかけて巡り逢った二つの宝玉。しかし、お互いが互いの半身であるために、どちらかしか残ることができない。


「アルディス様……」


 セシリアの微かな声が響いている。今の状況では消滅するのはアルディスのようにみえる。しかし、シュルツはそのようには思っていない。彼は自分が引きずり出した相手だけを見据えている。