白と黒の神話

「聞くまでもないでしょう。負けた方は消えましてよ。そして、生き残るのは盟主様に決まっていましてよ」

「そんなことあるはずないでしょう」


 セシリアの叫び声を無視したようなマレーネの様子。彼女は薄笑いを浮かべながら振り返ることなく後ろにいる存在に声をかけていた。


「あなたも決着をつけたいわよね」

「そうですね。盟主様も再生なさいますから。その前にこの者たちとの決着はつけたいです」


 マレーネの声にこたえるように聞こえた声にセシリアたちは背筋が凍る思いがしていた。その声はルディア近くで遭遇したデュラハンのものに間違いない。あの時はミスティリーナの魔法でようやく互角だったのだ。しかし、今はその魔法がない。

 絶体絶命だという思いがセシリアたちにはあるのだろう。一歩一歩近づいてくるデュラハンから逃れるかのようにジリッ、ジリッと下がっているセシリアたち。