白と黒の神話

「ウィア、あんたも?」


 ウィアの魔法までもが発動しないことに、ミスティリーナは思わず不安を覚えているのだった。そして、その現実にセシリアとカルロスも顔色を変えている。ここがどこかはわからない。しかし、自分たちに好意的な場ではないだろう。そんな場所ですべての魔法が使えない。これが、どれほど不利なことかは考えるまでもないことだった。そんな中、マレーネの勝ち誇ったような声を耳にしたセシリアは嫌な予感だけがふくらむのを押さえることができないようだった。


「やっとお目覚めですのね。でも、間に合ってよかったですわ」


 そう言って高笑いを響かせるマレーネをセシリアは睨みつけている。そんな彼女を哀れむような表情をマレーネは浮かべているのだった。


「そんなに怖い顔をなさらなくても教えてさしあげますわ」