白と黒の神話

「アルディス!」


 カルロスが呼ぶ声も彼女には届いていないのだろう。アルディスは自分を招くマレーネだけをじっとみつめている。


「やっぱり、お人形ね」


 マレーネの言葉にキッと唇をかんでいるカルロス。彼は操られているようなアルディスの腕をしっかりと掴んでいる。


「アルディス、目を覚ませ!」


 しかし、彼女の顔に浮かんでいるのはぼんやりとした空ろなもの。そんな彼女をカルロスは揺さぶっているが、何の反応もかえってこない。


「アルディス様に何をしたの」


 アルディスの変化の原因がマレーネだと判断したセシリアは彼女に詰め寄っている。しかし、マレーネは薄笑いを浮かべているだけだった。


「面倒だわ。皆さんを招待いたしましょう。でも、そこの口の悪い蛇はダメだけれども」


 マレーネに蛇と言われた神竜は本来の竜体に戻ろうとしている。それをみて嘲笑っているマレーネ。