ニッコリと笑ってそう告げるマレーネ。その笑みはどことなく毒を含んだものであるが、あまりにも彼女に似合っている。


「ハートヴィル侯爵令嬢。彼女は何があっても動きますわ。あの兄王子とは別の意味で彼女は聖王女が大切ですもの」


 そう言って笑い出すマレーネ。その高笑いはどこか狂ったものもあるようだが、邪霊王はそのことを気にもとめていないようだった。


「お前のいう者なら、たしかに何とでもするだろう。そいつには神竜がついたからな。ただの老いぼれの竜だが、こういう時には役に立つ」

「では、わたくしは彼らに情報を。王には吉報を近日中にお届けいたしますわ」


 マレーネは艶然とした笑みを浮かべ、そう言っているのだった。