「厄介? どこだ」

「大神殿ですわ。聖水晶がここまで姿をみせないのは不思議だと思って調べてきましたの」

「大神殿ということは、聖教皇が絡んだな。だが、あいつの好きにはさせぬ。あれは私が手にして左右に並べる人形なのだから」


 邪霊王の言葉にマレーネはニヤリと笑っている。


「それは見応えがあることでしょう。ジェリータと聖王女。正反対の二人ですが、鏡に映したようにそっくりですからね」


 そう言うと彼女は自信ありげな表情で邪霊王に相対していた。


「わたくしにお任せくださいますか」


 そう告げるマレーネの顔を不思議そうに見ている邪霊王。


「お前とて大神殿の結界は破れないだろう」

「聖王女を捜している者たちがおりますわ。その者たちに情報をやれば、喜んで動きますわ」