白と黒の神話

 そう言ったシュルツは神竜の方をみている。そんな視線を無視するかのようにしている神竜。それは、彼が言っていることが正しいのだと答えているのと同じことだった。


「僕は君たちの知りたいことには答えたよ。違うかい」

「そうね。もっとも、知りたくないことまで教えてくれたけど」


 シュルツの言葉にいくばくかの嫌味ものせて答えているミスティリーナ。そんな彼女の様子を彼が気にした様子もない。


「そちらが知りたいといったんだよ。僕はちゃんと警告したんだからね。それよりも、僕はこれで帰るよ。さすがに創世神の結界の中に長くは居たくないからね」

「二度とあんたには会いたくないわね」


 シュルツというつかみどころのない者の相手をするのがこりごりだという顔をしているミスティリーナ。そんな彼女に意味ありげな微笑を浮かべて彼は姿を消している。


「それはそうと、秘文書が真っ白になったのよね」