白と黒の神話

「君たちは知らないだろうね。邪霊王だよ」


 シュルツの告げた名前はセシリアたちには何の意味もない。しかし、一人だけその名前に敏感に反応している者があったのだ。


「ウィア、どうかしたのか?」


 シュルツが邪霊王といった瞬間から顔色が青ざめ、苦しそうにしているウィア。そんな彼の様子をみたカルロスはすっかり驚いてしまっていた。


「だ、大丈夫です。よもや、このような場所で聞くとはおもっていませんでしたので……」

「君は知っているんだね。あいつのことを」

「ええ、あまり詳しくは知りませんが。会いたくない存在ではありますね」

「しかし、そうは言っていられないよ。今のジェリータを影で操っているのはそいつだから」

「あなたが私たちにいろいろ教えてくれる理由は何」