知り合いのように気楽に話しているシュルツと神竜。そのあたりのことを問い質したいとセシリアたちは思っている。しかし、今はそれよりもききたいことがあったのだ。


「おい、さっきの女は何だ」


 シュルツがヴァンパイアだということを知っていてもそう詰め寄るカルロス。そんな彼を興味深そうにみているシュルツ。


「君があの二人を見分けることができたなんてね」


 シュルツの言葉にセシリアは声も出せなかった。シュルツは『見分ける』とはっきり言っている。つまり、あの少女はアルディスではなかったのだ。


「私はアルディス様ではないのに、そう思っていたの?」


 半ば悲鳴のようなセシリアの声。それを肯定するようなシュルツの仕草。


「そうなるね。でも、それは仕方がないとしか言い様がない。なんといっても、そこの坊やが見分けられたのが奇跡のようなものだからね」