「ジェリータ、こんなことはおやめ。お前が苦しむだけだよ」

「お、お兄様……」


 シュルツの言葉に後退りをしているジェリータ。だが、その表情が急に自信にあふれたものになっている。


「いいえ、やめられませんわ。たしかに、わたくしはお兄様よりは弱いかもしれない。でも、この場所ではわたくしの方がお兄様よりも有利ですわ」


 そう言いながらキッとシュルツを睨みつけているジェリータ。


「お兄様もわかっていらっしゃるはずですわ。どうして、わたくしたちがここまで苦しまなければなりませんの? 原因はわかっていることですわ!」


 そう言うなり腕を振り下ろすジェリータ。それに従うかのように突風が広間に吹き荒れている。風が轟音を上げて暴れまくる。広間のものがすべてその位置を変え、破壊されている。