白と黒の神話

「俺の前にその姿であらわれるな。アルディスと同じ顔、同じ声。そんなもので騙されないからな」


 低い、どこか凄みを感じさせるカルロスの声。それにセシリアはすっかり驚いてしまっていた。


「カルロス様、あのお姿がアルディス様ではないと?」


 セシリアの抗議するような声も無視するかのように、カルロスは少女をみている。いや、その視線は睨みつけているというものだろう。しかし、少女はまるで気にしていない。


「どうしてですの? わたくしですわ。おわかりになりませんの?」


 そう言って首をかしげる姿は可憐そのもの。しかし、カルロスの追及の手もやむことはない。


「お前がアルディス? そんなはずはない。姿がまるで違うからな」


 カルロスの言葉にセシリアが思わず驚いている。そんな彼女によく見ろと言わんばかりの表情を浮かべているカルロス。