白と黒の神話

『非常事態じゃというのは儂にもわかった。特別に見ることを許すことにしようかの』

「本当ですか?」


 期待に満ちたセシリアの声が響いている。そんな彼女を焦らすようなことを神竜は口にしていた。


『じゃが、お主たち全員ではないぞ。相性というものもあるからの。ふむ……』


 そう言いながら、セシリアたちの顔をみている神竜。その視線がウィアの上でピタリと止まっている。


『ふむ、お主なら大丈夫じゃろう』


 神竜がそう言うなら、秘文書はフワフワ浮いてきたと思うとウィアの手の中に納まっている。そのことに不思議そうな顔をしているウィア。


「私に読めというのですか?」

『お主が一番、相性がいいようだからじゃ。お主、リンドベルグの息子じゃろう』

「わかりましたよ。読めばいいんでしょう」