そう言うなりウィルヘルムの前から下がっているアルフリート。しかし、彼は自分の部屋にまっすぐに戻ろうとはしていなかった。彼はセシリアと一緒にいたカルロスとウィアのことが気になって仕方がないのだ。こういう形で来た二人が正規の客殿にいるはずがない。彼はセシリアが王宮で使っている部屋に一目散に向かっているのだった。


「セシリア、あいつはどこにいる」

「あいつって」


 アルフリートのその声に不機嫌を丸出しのカルロスの声。彼にしてみればアルフリートは自分の恋路の邪魔者以外の何者でもない。そして、もともと水と油といってもいい関係の二人。一触即発は免れないのかとウィアはヒヤヒヤしているのだった。そんなウィアの思いに気がついていないアルフリートは自分の言いたいことを言っている。


「よく覚えておけ。アルディスはお前にはやらない」

「そうかい。じゃあ、アルディスが俺を選んだらどうする」