「セシリア、いつ入るつもりだ」

「明日の朝一番と考えております」

「わかった。ではそのように……」


 国王の言葉が終わるか終わらないかのうちに、その場の扉が大きく開かれていた。そこに立っていたのはアルディスの兄であり王太子でもあるアルフリート。彼はその場にカルロスもいることに気がつくと、顔を真っ赤にすると怒鳴り声をあげていた。


「どうして、お前がここにいる!」


 苛々したような顔と声。彼にしてみれば、この場にカルロスがいることは信じがたいことだったのだろう。しかし、彼の思いとは裏腹にカルロスは当然のような顔でそこにいる。


「アルフリート、見苦しい」


 ウィルヘルムの一喝に返す言葉がないアルフリート。それでも、彼はカルロスをにらみ続けている。そして、その視線を受け止めているカルロスも一歩もひくつもりはない。


「では陛下、私はこのあたりで失礼させていただきます」