「陛下!」


 セシリアの訴えかける声。それに、国王からの返事はない。それを静かにみていたウィアが、ゆっくりと口を開いていた。


「国王陛下、つかぬことをおたずねいたします」


 今まで黙っていたウィアの声に、全員の視線が集中している。


「今回、アルディス姫がお姿を消されたのには、どなたかの入れ知恵があったときいております」


 ウィアが急にそのように言ったことにカルロスは驚いた顔をしている。これは、セシリアがウィアには教えておくべきだと判断したため、彼は知っているのだった。しかし、ウィアは誰からきいたか告げる事なく質問している。それに対してウィルヘルムはそれを隠そうと足掻いているようだった。


「い、一体何のことを……」

「隠されなくてもよろしいでしょう。私はリンドベルグの一族につながります。その気になれば、情報などいくらでも入りますよ」