白と黒の神話

 そう言うなり、腰の大剣を引き抜いているデュラハン。それを受け止めようとするカルロスの表情が歪んでいる。


「そう、その顔ですよ。それが見たかったんですよ。人間なんて、我々からみれば虫けらにすぎない。いや、虫けら以下ですからね。もっとも、あなたたちはそれに気がついていませんがね」


 勝ち誇ったような声と表情。そして、そのデュラハンの剣が振り下ろされようとした瞬間、新たな声がその場に響きわたっていた。


「そのあたりにしておけ、ハインツ」


 その声を聞いたとたん、デュラハンの表情が強張っている。あたりを不安にかられたようにキョロキョロみている彼の前に、銀髪の美青年としか表現しようのない相手が姿をあらわしていた。その姿に思わずみとれているセシリアたち。しかし、デュラハンの方はそうではない。彼は相手の姿をみたとたん、この場から姿を消そうとしている。それを面白そうな表情でみている青年。