白と黒の神話

 黒い塊のようなものから聞こえてくる低い声。それは、先ほどまで馬上にいたデュラハンのものに間違いない。馬はミスティリーナの魔法で消滅したのだが、自分だけは助かっているのだった。

 そのデュラハンの声を聞いたとたん、ミスティリーナは連続で攻撃魔法を使ったことと、セシリアとカルロスの剣に炎を付加したことでの疲労を一気に感じたようだった。相手を睨みつけることはできても、ほとんど立っていられない状態になっている。


「盟主様は仲間にということでした。しかし、それでは私の気持ちがおさまりません。その魂もなにもかもきれいに消してあげましょう」


 そう言うなり、ニヤリと笑っているデュラハン。腕にかかえられている首が楽しげに喋るその姿は恐怖しか感じられない。セシリアたちの方にゆっくりと進んできているデュラハン。その動きに合わせるかのように、彼らはジリッジリッと後ろに下がっている。