白と黒の神話

「そんな顔をするな。とにかく、この場を切り抜けないとな」

「そうですね。たしかに、グールの相手はしたくないですね」


 そんな二人の姿をみながら、ウィアも魔法を唱えている。


「癒しの風。柔らかなそれは人を安らがせるもの。穏やかなそれは力を与えるもの。すべての人に癒しを。ホーリー・ウインド」


 彼の詠唱が終わるなり、温かな光が全員の体を包んでいる。


「遠慮なくどうぞ。体力回復の魔法をかけています」

「わかった」


 ウィアの言葉にうなずいたカルロス。彼はセシリアと顔をみあわせると、互いに息を合わせて切り込んでいく。そんな二人の剣先が触れる度に炎をまとうアンデッド。そして、ミスティリーナは新たなる魔法を発動させようとしている。


「すべてを浄化する偉大なる炎。今こそ、その力みせる時。わが望み叶えるため、その姿みせたまえ。浄化の炎、形をみせよ。すべてを燃やし、新たなるものを作り出せ。フレイム・ランス」