ガチャン、

「あれ 誰もいないじゃないか」
そう言って

後ろにいる
生徒の方へ向きを変える。

「黒髪でピアスの人、
屋上に向かって行くの
見たんすけど。」

黒髪でピアスって、
確実にこの人だ。

「あいつは前の学校でも
問題児だったらしいが
初日から遅刻とは。」

問題児かはまだしも
遅刻なんて違うのに

私が落し物なんかしなければ
こんなことには...

「事情、話してくるよ」

先生の所へ
かけだそうとしたその時

私の腕をつかんだ君は

「大丈夫。」
と言った。

その姿は
私に本当に大丈夫だと思わせる。

「でもあなたは
手帳を拾ってくれただけじゃない」


「いいんだ、大丈夫だから」
君は私に微笑んでくれた。

その微笑みは
私に安心をくれる