転入生だと言って
差し出されたのは生徒手帳
「もしかして私の?」
受け取って確認する。
私のだ
「落としてったの見たからさ。
届けなきゃって。」
そう言って立ち上がる君。
耳がいい私は
誰かが屋上へつながる階段を
のぼってくる足音に
すぐさま気づいた。
君の袖を
ぐっと掴む
「やばいかも」
そのまま袖を引っ張り
2人でかげに隠れた。
「え?」
驚く君は私と一緒に
私の視線の先をじっと見つめる
視線の先は
屋上の扉だ。
先生が誰かと
話しながら屋上に
近づいてくるのがわかる。
ガチャン、
勢いよく開かれた
ドアの先には
やっぱり、先生。
