運動会2週間前私は母を訪ねた

再婚話を聞いてから母には会いに行っていなかったし
母も家に帰ってくることはなかった。

でも、今日はどうしても行かなくてはならなかった。

バトンパレードに使う真っ白な靴を買って貰う為だ。

母と約束していた。

白い靴だけは、母に買ってもらうと・・・




母を訪ねるとあまり体調が良くないのか部屋には布団がしかれたままだった

部屋に上がり、同棲している相手が不在なことに安心した

母は、約束を忘れていたらしくお金を持ち合わせていないというので銀行に一緒に行くことになった

今でもよく覚えている

母の銀行残高が『2836円』だったことを・・・

母はそこから2000円下ろして私に手渡した。

「一緒には買いに行けないからこれで白い靴と靴下を買いなさい」

「なんで?一緒に行こうよ」

という私に

「夕方には彼が帰ってくるから。」と言った


男に気を使う母を見るのが嫌で私は顔を背けた


「あと、ごめん。運動会行けそうにない。」


・・・・

私は、絶句した。

母の運動会に行けないという言葉に。

私は今まで何のために頑張ってきたのだろう・・・

心のどこかで母に認めてもらって帰ってきて欲しかったんだ

自慢の娘に育ったとそう言ってまた笑って生活できると

いや、またじゃない笑って生活した記憶なんて私にはない。

多分始めたかったんだ

男の頼る母じゃなく、きちんと家族で・・・

でも、子供の頑張りなんて親にはどうでもいい事だったんだ