拓人を待ってから、30分過ぎた。



まだ・・かな・・・




隣の校舎から夏目先輩が女の子と手を繋いで、

こっちへ歩いてくるのが見えた。



・・・・会ったらめんどくさそうだな。




私は避けるように、階段を昇った。


2階の踊り場で待つことにして、


壁によりかかった。


長いな・・・・





本当に教室にいるのかな・・・




私は気になりだして、


教室まで見に行くことにした。



廊下を静かに歩いていくと、




教室から、先生の声が聞こえてきた。






「その席で大丈夫なのか?」




「はい」



「一番前に来てもいいんだぞ」



「いえ・・大丈夫です」



「ちゃんと話してくれてありがとな。


つらかったな・・・





ひとりで抱え込まないで、周りに頼ってもいいんだぞ。


みんなに話すのも、勇気だ」




・・・・なんのこと・・・?




「先生、今話したこと・・


絶対に誰にも言わないでください。



俺・・同情とかされるの嫌なんで。



俺は、大丈夫ですから」



「わかった。


和泉がそうしたいなら、そうしよう。


でも、俺にはなんでも相談してくれよ。


力になるから・・な?」





「はい。ありがとうございます」