キャーキャーと、驚いている女子の声と、
おおお!と驚いている夏目先輩の声。
夏目くん夏目くんと、やたら呼んでいる声が、
だんだん近づいてきた。
マントの隙間から外を見ると、
夏目先輩に女がしがみついていた。
「なにここ・・ドラキュラ?
夏目く〜ん見て!
このドラキュラの子かっこよくない?」
マントのすぐ近くで声がした。
今だ・・・と、マントから出ようとしたら、
拓人がぎゅっと強く抱きしめてきた。
・・・えっ・・・
「俺の方がかっこいいだろー
・・・って
え?なに。もう終わり?
最後はあっけないな」
そう言いながら、夏目先輩たちは出口から出ていった。
いつまでもぎゅっと抱きしめている拓人。
「拓人・・・苦しい・・・」
私がそう言うと、拓人はふっと腕の力を緩めた。
私は、マントから出て、
拓人を見上げた。
「拓人?」
ぎゅっと今度は前から抱きしめられた。
「あいつには、お前を見せねー」