拓人はずっと頭を下げたままだった。 私は拓人の膝に手をのせた。 「幸せなんだよ・・・」 拓人は顔を上げた。 「もう、幸せなんだよ・・・私。 この先もずっと拓人のそばにいられるんでしょ?」 そう聞くと、拓人は頷いた。 「じゃ・・・私ずっと幸せだ・・・」 私は箱と左手を、拓人に差し出した。 拓人は箱を受け取ると、 指輪を取って、私の左手の薬指にそっとはめた。 私はその手を、夜空にかざした。 小さな石の輝きは、 私には星よりも何倍にも輝いて見えた。